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第4回日本精神科医学会学術大会に参加しました。

平成26年10月8、9日に沖縄で行われた日本精神科医学会主催の学術大会に当法人から4名の職員が参加しました。
毎年行われるこの学会には、当法人もスタッフの自己研鑽の場として積極的に参加を促しております。
以下が参加職員の紹介と発表内容です。

 

表題:就労支援プログラム『ジョブトレ』の振り返りから見えてきた、今後の課題
作業療法士:菊池那央

私の所属している外来リハビリテーション(以下、外リハ)では「仕事をしたい、続けたい」という方に対し様々なプログラムを展開しています。その中の一つであるジョブトレプログラムは、就労への入口部分に値するもので「何から始めて良いか分からない」「自分に合う仕事って何だろう」といった方が働き方を考えるためのプログラムです。今回、このプログラムを開始したH23年以降の取り組みを報告させて頂きました。就労未経験の方、長年外リハを居場所として利用していた方、職を転々としていた方が働き方を検討し就職活動を開始するようになった一方で、治療の重要性を感じ就職活動を中断した方もいらっしゃいました。また、方向性が定まらない事でモチベーションが下がってしまうという課題も挙げられました。1人ひとり状況や状態が異なるため、個別性を重要視することを基本としながら、今後の取り組みとして新しいプログラムを立ち上げようと考えています。
この学会への参加はこれで3回目となりますが、年々地域支援の重要性が強く求められているのを感じます。地域で生活する方々を支援する外リハの役割は大きく、利用者の皆様に必要とされるような、より良い支援が出来るよう努めていきたいと考えています。

 

表題:当院精神科外来における暴力事故防止の取り組み〜安全管理委員会の活動報告〜
作業療法士:坂元勇斗

安全管理委員会は、法人における“安全”の強化を図る上で中心的な役割を担う委員会です。私はその一員として活動しております。委員会では、院内事故の共有に加え、取り組むべき重点課題の抽出と課題解決活動を行っています。本学術大会では、委員会で取り組んだ重点課題のひとつ『外来における暴力事故防止』について報告しました。
暴力事故発生の背景には様々な要因がありますが、事故防止のためには事故発生の“真の原因”を見つけ出し対応策を導くことが必要です。今回の取り組みで導いた対応策の一つに、事前に得た危険予知情報を有効活用し、関係する全部署で危機回避に取り組むためのルールがあります。暴力を完全に防ぐことは困難ですが、①暴力が起きる前の危険な状況をいち早く察知し危機回避すること、②発生後の迅速な対応、の2点が暴力事故防止に大切だと考えます。
学術大会への参加を通じて、日ごろ患者様と接する中ではあまり考えることの少ない“病院の安全”について考える貴重な時間となりました。今後も委員会活動に励み、その経験を所属部署でも活かせればと思います。

 

表題:ばっちりマンデーにおける目標設定の分析と振り返り
作業療法士:櫻井美来

ばっちりマンデーとは、急性期病棟に入院されている患者様を対象に毎週月曜日に行われるOTプログラムです。患者様自身が積極的に治療に加わる意識を持つことを目的としています。その内容は、専用シートを使用しながら前週1週間の振り返りと、それを踏まえて新たに今週の目標を立て、スタッフと深めていくというものです。今回の研究では目標達成率はどうか、疾患による違いはあるのか等、傾向を明らかにすることを目的に調査しました。80名の患者様を調査した結果、平均達成率は74%でした。統合失調症と気分障害については、参加回数や目標の具体性による達成率の違い等、より詳細な調査を行いました。結果、統合失調症では、人格水準の低下した患者様が現状に見合わない目標を継続して挙げる傾向にあることが分かりました。気分障害では、目標の具体性よりも参加回数の方が達成率に影響を与えていることが分かりました。
今回の研究の結果から、ばっちりマンデーをより良いプログラムにしていくためには、患者様の最終的な目標に向けて、病状や経過に沿った適切な目標が立てられるようフォローしていくことが重要になると考えました。

 

表題:統合失調症患者の心理教育―ストレスと注意サインの自覚―
臨床心理士:赤岩美希

第4回日本精神科医学会学術大会では、統合失調症の患者様を対象とした心理教育プログラム「こころの教室」から得られた知見について発表させていただきました。「こころの教室」では、病気や症状、薬についてのセッションの他に、ストレスや不調の前兆となるサイン(注意サイン)についてのセッションを展開しています。患者様が生活の中で感じるストレスや注意サインについて整理した結果、ストレスとしては、対人関係に起因するものが最も多く上がり、友人関係や家族間でのコミュニケーションに多くのストレスを抱えていると示唆されました。また、注意サインとしては、睡眠の変化や感情の変化を感じている患者様が多くいらっしゃると明らかとなりました。ストレスや注意サインは自覚しにくい場合も多く、見逃されがちですが、ストレスや注意サインにより早く気づいて対処していただけるよう、この知見を今後の運営に活かしていきたいと思います。また、様々な講演からも多くの刺激を受けることが出来ました。
今後も研鑽を重ね、より良いサービスが提供できるよう努めていきたいと思います。

 

今回は沖縄での開催という事もあり、たくさんの期待と多少の緊張を持って参加してきました。
本学術大会は多くの医療機関が集まり積極的なディスカッションが行われます。
自分の発表だけでなく、他医療機関の取り組みを学べた事は、今後の法人の発展や個人のスキルアップに必ず生きてくるものと思います。

 

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