一人ひとりの治療時間軸を重視したプログラム展開を意識しています。
入院〜退院までを1本の軸で考えた場合、入院したばかりの患者様と退院間近の患者様では、提供される治療は同一ではありません。またそれは、病棟単位で完結するものでもありません。作業療法では、その方のライフステージや治療過程の軸を意識し、各時期に合わせた治療グループの展開を目指しています。
作業療法室で作業療法を提供するにとどまらず、各病棟の機能に合わせて積極的に病棟の中で作業療法を展開するスタイルをとっています。そうすることにより、できる限り早期から介入を開始し、患者様の入院治療全体を把握したアプローチを可能にしています。また、他職種との情報共有もスムーズになり、治療のベースになっています。
より患者様の治療過程に沿ったアプローチを重視し、午後のプログラムでは病棟単位の垣根を越えた総合的な治療グループを形成しています。治療グループは、作業療法士だけでなく、医師・看護師・薬剤師・精神保健福祉士・臨床心理士など他職種チームで運営しているものもあり、チーム医療が実践されています。作業療法では、患者様のライフステージに焦点を当てた目的別プログラムを各種実施しています。
精神科の治療は、退院した時点で終了ではありません。退院後も治療は継続されます。その治療の流れをスムーズにする意味もあり、入院中の患者様が外来リハビリテーションや自立訓練事業所のプログラムに参加することが可能です。入院中からそのようなプログラムに参加することで、退院後のスムーズな治療継続につながっています。
外来リハを利用する方々は、様々な課題を持ちながらも地域で生活している方です。
外来リハは、利用されている方が地域の中で"その人らしく"生活できるよう、治療・支援を展開しています。その中で作業療法士は、その人らしさを知ること(評価)、そして自分らしく生活するためにともに歩むこと(治療・支援)を大切にしています。支援の中には個別の介入はもちろん、グループを利用した支援も含まれます。それぞれの課題やライフステージを踏まえた関わりを大切にしながら、より良い支援を提供したいと考えています。
訪問リハでの作業療法士の役割はその方らしい生活の実現を支援することです。
医療領域ではどうしても安全第一、という事で本人らしさも医療の名の下に抑制されてしまいがちです。それは必ずしもQOLを上げるとは、限りません。
・・・QOLの低い生活は、健康に良くないです(笑)。
もちろん安全については十分に考慮すべきです。しかしその中でも本人らしさを忘れずに生活に反映させていくことが重要で、その視点をチームによる支援に活かすことが訪問リハの作業療法士の大切な役割だと考えています。
現在は作業療法独自の評価であるCOPMを活用して、その人が価値を置く作業を明確にすることから、AMPSを用いた実際的な支援を行う仕組み作りを試みています。
まだうまくいくかはわかりませんが、その方らしい生活、そして人生が実現できるよう、失敗ありきで試行錯誤を積み重ねています。それが積み上がり「これだ!」というものにたどり着けたとき、その方やご家族等、そして我々のQOLも上がっていると考えています。
認知症治療病棟では、主に、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)の軽減に努めています。また、入院生活だけではなく、次の生活の場でもその方らしい生活が送れるような環境を考えることが私たちの大切な役割になります。
OTは病棟専属で配置されており、集団活動や個別対応を行いながら、患者様の生活の流れに沿って一日を共に過ごします。
集団活動では、生活のリズムを整えたり目的のある時間を過ごすこと等を目的に、レクリエーション・音楽療法・創作活動等を行っています。個別対応では、BPSDの原因を疾病性・個別性の両面から評価し、その人らしい活動を通して治療につなげます。
その他にも、生活のしづらくなっている部分を評価・改善することを目的に、身体リハ・排泄や食事の介助・環境調整等を行います。
また、現在は疾患や進行度に合わせた対応にも力を入れています。患者様の御家族や病棟職員など、患者様に関わる全ての人が同じ方向性を持って進んでいき、その方にあったケアを目指しています。
教育の場や機会を広めるため、様々な外部研修や学術大会に積極的に参加しております。