私たちは、グループがもっている力(Group dynamics)を重視し、信じ、治療や支援に積極的に活用しています。
たとえば、すごく孤独に感じていた方が、グループで同じような体験や悩みを抱えている方々とのコミュニケーションから勇気がもらえることがあります。
「もう良くならないんじゃないのか。」、「ダメなんじゃないか。」と不安や絶望を感じていた方が、グループの仲間が実際に良くなって、卒業していく様子を間近で見ることで励まされることがあります。
グループはこういった力を備えています。グループの治療因子と呼ばれたりします。
有朋会では様々なグループが運営されています。
以下はその一部になります。
入院してまもない患者様を対象としたグループです。入院にまつわる不安や不満、入院生活上の心配な事について話し合っています。
患者様にとって入院するという事は、様々な混乱や不安を引き起こします。背景には、病的な体験から来る恐怖や喪失感、自身と向き合わなければいけないしんどさなどもあります。それは、時には入院自体への不満やスタッフ・病棟のルールなどへの不満となって現れる事があります。
私たちは、そういった患者様の言葉の背景にある想いを想像し、患者様が安心して治療に取り組めるようにサポートしています。
その名の通り、グループで行うカウンセリングです。話題は特に決めずに、その時に話したいこと、話す必要があると思っていることについて自由に話し合うグループです。
自由に話し合う中で、グループには様々な力関係が発生します(Group dynamics)。グループを仕切る様にスタッフにお願いしたり、沈黙を埋めるかの様に延々としゃべり続けたりすることがあります。
私たちは、不安なり怒りなり、その時グループに漂っている想いに参加者全員が気付いていける様にグループを運営しようと試みています。そういったプロセスを繰り返すことが参加者1人ひとりの自我の成長に大切であると考えているからです。
ばっちりマンデーは、患者様自身が入院生活を主体的組み立てられることを目指して行っているグループです。
有朋会では毎日様々なグループが運営されています。ただし、大切なのは、そこに受身的に参加するのではなく、患者様が自分の治療には何が必要なのか、何に参加する必要があるのか、考える時間を持つことだと思います。
ばっちりマンデーは、先週の自分はどうだったのか、入院時と比べてどう変化したのか、今週はどう過ごしていきたいのか、スタッフと相談しながら考える時間になっています。
退院を視野に入れている患者様のグループです。入院と同じように退院も大きな環境の変化です。以前に生活していたところに戻るだけと考えがちですが、再発再入院への不安やご家族様を含む対人関係上の不安など、心理的に大きく揺れ動く時期なのです。
直接的に言葉で表現できる事もありますが、体の不調という形で現れたり、あるいは、まったくそれらの感情を否認するような場合があったりと1人ひとり表現する形はそれぞれです。
私たち、そういった患者様の気持ちに触れ、グループで気持ちを共有することで、患者様自身が様々な気持ちや課題と向き合え、主体的に退院への準備を進められるようにグループを運営しています。